もともと収穫の時期からの呼び名で そばの品種名ではありません
しかし作物としての特徴から見ると 早熟の夏そば 晩生の秋そば それと播種の期に関わらず結実に大差のない中生種とに大別され それぞれに在来種と改良種があります
在来種とは固有の土地に長い間栽培されてきた品種で 多くはその地名を頭につけて呼びます
しかし そばは他の作物と違って厳密な意味での品種が識別されてきたわけではありません
イネやムギなど多くの作物が自家受精作物なのに そばは昆虫や風の力を借りて受粉する他家受精作物です
その為 品種としての特性の均一性を維持しにくく 品種識別を難しくしています
江戸時代以降 大(おお)そば・小(こ)そば・角(かく)そばなど そばの形状によって類別されてきた例はありますが 便宜上の分類にすぎません
夏そばは 九州あたりから収穫が始まり 最も遅い北海道でも八月中旬頃には収穫が終わります
秋そばの収穫は 北海道が一番早くて九月下旬頃まで九州では十一月中旬頃までとかなり遅くなりますが 東京あたりでは十月頃から一般に出回るようになります
いわゆる「新そば」と呼ばれるのは この「秋そば」の事で 「夏そば」は初ものでも本来は「新そば」とは言わないようです